ダウンロードフォルダにたまった画像ファイルをみていて,ふと,胸が痛むものがあった。どこかでみたことがあるな,この画像,なんだっけ? 連番になっている画像をひとつひとつみていて,あっ,と思い出した。小学校の卒業アルバムだ。
quote:ファイル共有をしているほとんどの人は音楽を探しているが,リッチ・ヴォーゲル氏は写真をみつけるのに使っている。それらの写真のほとんどは,共有するつもりがないのに共有されているものだ。「my pictures」というキーワードで検索すると,何千ものマイピクチャフォルダの中身が共有されていて,ダウンロードできる。ヴォーゲル氏はそのダウンロードした写真から選んだものを,自分のサイトに展示した。ヴォーゲル氏は云う。「誰か知らない人が共有している写真は,想像力を広げる。意図的でなく共有されたものは,もっと面白い」。
よく,Winnyで「.jpg」だけをキーワードにしてダウンロードを始めて,放置している。流れている「.jpg」がファイル名につくファイルを闇雲に落とし続けるのだ。山ほどファイルは落ちてくる。ウイルスやゴミも多く,画像もエロ画像がほとんどだけど,たまに意味不明の風景や,写真などが混じっていることがある。そのなかに,なぜかわたしの小学校の卒業アルバムをスキャンしたものがあった。最初はなんの写真だかさっぱりわからなかったが,そのなかの1枚の写真,その端に当時好きだった女の子が写っているので,気付いた。
押し入れの奥深くをあさって,その卒業アルバムを掘り出してみた。確かに,同じだ。いったい誰が共有しているのか,意図的なのかうっかり共有してしまっているのか,さっぱりわからない。が,もう一度その写真をみてみる。よく遊んだ友だちの顔,嫌いだった奴の顔,いつもバスケットボールをしていた体育館の風景,放課後によくだべっていた夕陽の射す音楽室前の廊下,その廊下の窓から見える河の流れ。「想い出はいつもにがいもの,甘い想い出なんて,ありはしない」と云ったのは誰だっけ? そうか,この胸の痛みは…,と胸元に手を当てて感じていた。
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